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Face or Body

第57章 違和感…

サクラコは知っていた…。

いつもハツラツと
太陽のように周囲を照らし
俊敏な女豹が獲物を捕獲するかのように
屈強な犯人を確保するヒカルの
コンプレックスを…。

【ヒカルは極力、左手を使わない!!】

ヒカルは剣道5段である
剣道において
左手は右手よりもマメができやすい
ヒカルの場合そのマメが
今までの鍛練でタコになり
まるで左のてのひらだけは
男性のようにゴツゴツしているのである。

『サクラコさんみたいに、学生時代に陸上部だったら、こんなゴツゴツした手にならなかったよね~』
と昔ヒカルが口にしていたことを
思い出したのだ!!

ヒカルにとり左では
鍛練の証である勲章でもあり
ひとりの女性としては
コンプレックスだったにちがいない!!

そういえば……!!
ヒカルはアキラと結婚する以前にも
『デートの時、必ずアキラの左に立たないと… …うっかりアキラと左手で手を繋いだら嫌われちゃいそうで………。』
なんて
健気なことを言ってた…。

サクラコの感じた違和感は
右利きであるヒカルが
意識を取り戻した時に病院に駆けつけた
アキラの頬を
わざわざコンプレックスを持つ
左手で撫でるしぐさ…

それが原因だった…………。

そんなことを
サクラコは村山に一気に説明したのだ。


『サクラコさん… 事件はまだ終わってないね…。ヒカルはまだ…………戻ってきておらず、監禁されたままかもしれない………。』

サクラコと村山は
見つめあいお互いに頷きあった。

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