テキストサイズ

泣かぬ鼠が身を焦がす

第13章 正直の心より


質問……質問か……


本当に考えつかなそうな拓真さんの代わりに俺が必死で考えて

出身地は? とか、誕生日は? とか当たり障りのない質問をした

そんで


あ、そうだ
ずっと気になってたことが
2つほど


「次は?」
「拓真さんさ、結婚はしてないの?」


ちょっとドキドキしながら質問したら、一瞬止まる拓真さん


え、なに


「してる」
「……え…………」
「ふは、嘘だよ。相手がいるのに純のこと好きなんて言うわけがないだろう。それとも俺はそんなに甲斐性なしには見えるのか?」
「い、や……見えないけど……」


でも
だって


「不安だった?」
「えっ、なんで」
「図星か」
「……っ」


俺が黙ってしまうと、拓真さんは何でかにこにこしながら俺の頭を撫でる


「なんだよ」
「いや? 嬉しいなって」


くそ
良いように言いやがって


ふん、と鼻を鳴らしてやると、拓真さんはまた笑って
そしてとんでもないことを言った


「女性との関係なんて、ここ数年持ってないな」
「は?」


女性との関係……が?
ここ数年ない?

なに言ってんの


「会社のことで忙しかったし、そんな余裕はなかった」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ