
泣かぬ鼠が身を焦がす
第13章 正直の心より
た、確かに忙しそうだけど……
「じゃあこの部屋は? 俺絶対女の人連れ込むための部屋だと思ってたんだけど!」
そんな簡単に信じられるかって思いながら勢い任せに聞くと、拓真さんは何でもないように「仮眠用」と答えた
「仮眠用?」
「そう。家に帰る時間もなかったからな。ただ俺が寝るためだけに用意した部屋だよ。その証拠に他の家具はなにも置いていなかっただろう」
「そう、だけど……」
俺が言い渋ると拓真さんはちょっと拗ねたみたいに口を尖らせる
「なんだ。信用できないのか? というか、俺が職場で女性を連れ込む部屋作るような節操なしに見えたのかよ」
「あ、と……それは……」
「ん?」
詰問するみたいな言い方に、俺の目が泳ぐ
だ、だって仕方ないじゃん
普通だったらそう思うって
「ウリしてる奴を易々と泊めるなんて、そう思うしかないじゃん」
言ってから、確かにそうだって気づく
「そーだよ、拓真さん! これまでも俺みたいな奴をここに入れてたんじゃないの?」
だから信用出来ないの!
威嚇するみたいに睨むと、尖らせてた唇を収めた拓真さんが困ったような顔をした
まさかまじで?
