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泣かぬ鼠が身を焦がす

第13章 正直の心より


って思ったけど俺の予想は大きく外れていた


「それは……」
「それは? 何?」
「直感的に純をそのまま手放すのが惜しいって思ったんだよ」
「直感んんん?」


んなわけあるか
拓真さん絶対そんなタイプじゃない


すると


「……わかった。白状する……純があまりに綺麗で、つい引き止めてしまったんだ」


って照れたように言われた


「な……っ!? なに言ってんの!馬鹿じゃねーの!? 俺が綺麗なんてそんなことあるわけないじゃん!」


うわうわうわ
なに、なんだよ


俺は急いで拓真さんから離れて背中を向ける

絶対顔赤いし、恥ずかしい


「純」


でも、拓真さんはそんなこと御構い無しに俺の名前を呼んでくる


「……」
「純」


こんなこと、さっきもあったな
どうせまた返事するまで呼び続けるんだろ


「なんだよ」


すると、俺が振り向くより早く背中から包み込むように抱きしめられた


「なっ、なんだよ……っ」
「純、綺麗だ。お前は、世界の誰より綺麗だよ」


そして耳元に口を寄せてそんなこと囁くから、俺の鼓動は全く治らない


ばか
あほ

もうほんと、やばい
今死んだらどうすんだ

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