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泣かぬ鼠が身を焦がす

第15章 鼠の志


さっき入ってきた扉を戻って廊下に出る


とりあえず奥かな


玄関に近い方からバシバシ扉を開けては入ってみた


前半は必要なのかわからないような客間っぽい部屋

真ん中ぐらいになって漸くちゃんと使ってるっぽい書斎が見つかった


本だらけだ
読んでたの見たことないけど好きなのかな


中に入って、本棚をざっくり見てみる


うーん……
天地がひっくり返っても読まないような難しそうな本ばっかり

論文とか、学術書
読まないっつーか読めないだな


一通り見てみたら、隅っこに漸く小説が見つかった


しかしこれも難しい
ミステリー、サスペンス……


と目で追っていたところで、後ろから抱き締められた


「わっ……!?」
「見終わったか?」
「部屋は玄関からここまでしか見てない」
「ここは見ても面白くないだろう」


まぁね
ちっともわからんし

でも


「趣味を知れるってのはデカイよね」
「……」


拓真さんから反応がないことに違和感を感じつつまた本棚に目を落とすと、突然抱き着かれてた腕に力が入って持ち上げられた


「な、なに!?」
「限界。俺1人で残したりするな。せっかく休みなんだから少しぐらい癒せ」

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