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泣かぬ鼠が身を焦がす

第15章 鼠の志


そしてそのまま俺を担いだ拓真さんは書斎を出ると、ある1つの部屋に入った

そこは何故か今まで見てきた他の部屋より大きく、ソファやテレビ、ベッドなどが置いてある


なんか、この部屋単体でワンルームの部屋みたい


拓真さんは部屋に入ると俺をソファの上に下ろした


「ここ、何の部屋……? なんか他の部屋とは違うけど……」
「ここは俺のプライベートルーム」
「は? だってこの家全体が拓真さんの家なんじゃないの?」


何故プライベートな空間の中に更にプライベートな空間を設置してるんだ

マトリョシカか


拓真さんは俺の質問に答えるより早くソファに座っている俺の膝に頭を乗せてきた

所謂、膝枕の状態


く、擽ったい……


「家とは言っても昔は人の出入りが多くあったんだ。今はほとんど会社にいるならないが、休日にも何かあればすぐに社員がやって来ては仕事の話をしていた。だからこの部屋だけプライベートルームにしたんだ」
「……そうなんだ」


だから、あんなにたくさん客間が必要だったのか?


「じゃあここだけが本当に拓真さんの寛げる場所なわけか」


へぇ、と感嘆の声を上げつつ周りを見回していると、拓真さんが俺の手を取って自分の頭の上に乗せた

まるで撫でろって言ってるみたいに

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