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泣かぬ鼠が身を焦がす

第16章 馬に蹴られる


あーくそ
痛い

俺、人生でこんなに作り笑いしたの初めてかもしれない

こんなに難しいことだったっけな


でも俺はこの後も自分の心の内を隠しながら
ご飯を食べて
お風呂に入って

明日はまた仕事な拓真さんと「おやすみ」を言い合ってベッドに入った

拓真さんはいつも通り俺を抱きしめて眠っている

なのに安心できない

1度も思ったことないけど
今日だけは俺を抱き締めてる腕を振り払ってしまいたかった


誕生日プレゼント
茜さん何あげるんだろう

俺、何あげればいいんだろ
つか俺金ないし、何も買ってあげられないじゃん


あんなに可愛くて、仕事も出来そうで、尚且つ小さくてか弱い守ってあげたくなるような女の人に告白されたら、拓真さんだって揺れるんじゃないかな

とか考えて心の中が不安で荒れる

息も上手く出来ない

でも、そんな風になってたらきっと拓真さんが起きちゃう

今日休み取らせて時間使わせた俺が、睡眠時間まで奪うわけにはいかないから


「すーーー……はーーー……」


俺は深呼吸をして息を整えて、目をつぶった

でも結局その日は眠れないまま、拓真さんの腕の中で朝が来るのをひたすら待った

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