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泣かぬ鼠が身を焦がす

第4章 隠した爪に刺される


目が覚めると、ばっちり朝ごはんのちょっと前の時間


さっすが俺
体内時計の正確さ!

タイミング良くお腹も鳴ったし、完璧さに惚れそうだ


ご機嫌で起き上がると、いつも通り伊藤さんが入ってきた
手には手帳を持っている


「おはようございます、ノラ様」
「おはようございますっ」
「本日はーーー」
「……」


やっぱり毎日なんて無理じゃん
今日も夜遅くまで接待だって

あんなこと言ったその日にもう無理!


「はぁ……」


嘘つきは罪


「ため息を吐かれて、どうかされましたか?」
「へ?」


昨日は笑われたと思ったら
今日は話しかけられた


伊藤さんの突然の行動に驚いていると、不思議そうな顔をされる


珍しい、なんて思ったら失礼か
悪いことしたな


「いや、杉田さんが俺の相手をしてくれるって言ってたのに夜中まで仕事で、やっぱり無理じゃんって思って」
「確かに……そうですね」


伊藤さんは手帳を見ながら答える


やっぱりそうだよね


すると、伊藤さんは開いていた手帳を閉じてベッドヘッドの棚に置いた
そして俺をベッドに押し倒す


ゆ、床ドン……!!!
いや違うベッドドン?


「え、な……ん、ですか……?」
「社長からの依頼です」
「……何……?」
「貴方の相手をするように、と」

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