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泣かぬ鼠が身を焦がす

第26章 嘘八百


本当なら安心するはずなのに、心がざわついてしょうがない


勉強机
ベッド
本棚

全部俺の物

落ち着かない


理由なんて決まってる

ここにある物1つ1つ全てに、あの時の記憶が刻み込まれているみたいに思うから


「………………拓真さん……」


俺はベッドに横になる気にもなれず、部屋の端に座り込んで蹲って小さくなった


何時間かそのままでいると、部屋の扉がノックされた


「…………」


黙ったままでいたらもう1度扉がノックされる


「……はい」
「お食事をお持ちしました」
「……扉の前に置いておいて下さい」
「かしこまりました」


カチャ、と言う音がして足音が遠ざかっていった


ご飯……

お腹空かないけど
食べなきゃだめかな


俺はのろのろ扉に向かって置いてあった食器を取ろうとしたんだけど


「!」


くそ
徹底してるな


置いてあったのはご飯茶碗に半分ほどしか入ってない白いご飯

のみ


俺はそれを部屋の机の上に置いたけど、見たら余計に食べる気がなくなってしまってまた部屋の隅っこに移動した


生きてる気がしない
死にたい


数年前、何度も何度も考えたこと

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