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泣かぬ鼠が身を焦がす

第26章 嘘八百


「はぁ……」


何度目かのため息の後、ポケットに入れてた携帯が震えた

送り主は拓真さんで


『無事着いたか? 何かあったら言えよ』


と書いてある


返信……
いっか

忙しいかもしれないもん


なんて、言い訳だけど


何て言うか
今拓真さんのこと考えたくない

かも



俺は部屋の隅で蹲ったまま目を閉じた


そのままいつの間にか眠ってしまったらしく、起きた時には身体中固まってしまっていた


「痛……ぅ」


痛てて


流石にこれ以上この体勢だとやばいと思って、顔を起こしつつ身体を伸ばした

その時


「!!!!!」


心臓が飛び出るんじゃないかってぐらいびっくりした


「起きたか。久しぶりだなぁ? 純」


不敵な笑みを浮かべた、あの人がベッドに座っていたから


「……っ、なんでここにいんだよ」
「父親に向かって随分な言い方だな?」
「俺にはあんたの血は1滴も流れてねぇよ!」


俺がどんなに噛み付いても、あの人の気持ち悪い笑いは消えない


「そうか? あれだけ喜んで飲んだ俺の精子はお前の血肉になっているんじゃないのか? ……確かめてみようか」
「……っ」


ふざけんな

やっぱりまた元通りかよ

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