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泣かぬ鼠が身を焦がす

第28章 画竜点睛


困れ困れ
もっと困れ

俺の気持ちも少しは考えろばか


俺がひたすら無反応を貫いていると、拓真さんはベッドの横に膝をついて俺の顔を覗き込もうとする


「……ふん」


それを避けるように俺はまたそっぽ向いた


「純?」


拓真さんは本当に困ってる

でも知らない
俺が悪いんじゃない

俺が怪我人なのに拓真さんが自分の要望だけ通したのが悪い


俺がずっと不機嫌で、拓真さんの焦りも高まってきたのか拓真さんが俺の名前を呼ぶ声にも焦りが滲む


「純? 薬を飲んでくれ」
「……」


でも薬、は……
飲まなきゃいけないか


俺は無言のまま拓真さんの持っていた錠剤とペットボトル水を受け取って喉に流し込んだ


「……」


そしてまたシカトタイム


俺に残った水を押し付けられた拓真さんは、それを戻しに行くにも行けずただ俺を見つめている


「もしかしてどこか痛い、のか?」


そして俺の不機嫌は不機嫌なわけじゃなくて別の理由があるんじゃないか、という考えに達したらしく


「それとも気分が悪いか?」


と色々な可能性を探る質問をしてきた

けど当然俺は全部無視


制裁じゃ!!!
くらえ!!!!

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