テキストサイズ

泣かぬ鼠が身を焦がす

第29章 黒白を


自分からも擦り付けるみたいに腰を動かして快感を得る

けどその時

電気もつけていない暗い部屋の
俺の目に映っていた天井

そこにぼんやりとあの人の影が映った
俺と血の繋がらない父親の影だ


そいつは俺を見て嘲るように笑う
そして


『お前が淫乱なのは、これから先どこへ行ったって変わることはない。お前はずっと汚いまま』



この家へ戻ってきたその日に見た夢と同じセリフを吐いた


「!!!!」


その言葉が聞こえた瞬間に俺は本当に自分の身体が世界で1番汚いものに思えた


興奮して反応する自分の下半身も
快楽を求めようとして動く身体も

全部汚くて

その俺に触れてる拓真さんまで、汚してしまってるような気がして


「あ、や……いや、だ……」


滲み出るように俺の口から拒絶の言葉が出た


「純?」


拓真さんの声が聞こえない

なのに、あいつの笑い声は聞こえる


「や、だ……いや、嫌だ!!!」


俺は堪らずに拓真さんを突き飛ばそうと暴れた


「純!?」
「やだ!! やめて!!! 触らないで!!!! 触るな!!!!」


俺の突然の変化に拓真さんは驚いてる

けど今の俺にはそんなこと気にしてる暇はない

ストーリーメニュー

TOPTOPへ