
泣かぬ鼠が身を焦がす
第33章 能ある鷹も身を焦がす(サイドストーリー2)
私の言葉に安心したのか、三村様はまた表情を崩して
「貴方様の身体に汚いところなんてありません」
と仰いました
この変貌ぶりは本当にすごいですね
以前まではもっと自信たっぷりで、私に嫌われることなど恐れているようには見えませんでしたが
三村様は私の前で次の指示を待つように目を輝かせています
本当に犬のようです
「……お風呂に入りたいので、入れてきて頂けますか」
「! はい!!」
私のお願いに勢いよく返事をされた三村様が走り出そうとして、膝から崩れそうになりました
「危ない!」
それを転ぶ寸前で私が後ろから引き寄せベッドに戻します
「はぁ……怪我はございませんか?」
安心感から息をついて三村様を見ると、驚いたせいか固まっていた三村様がこちらを向かれ
「ご、ごご……ごめんなさい」
一瞬遅れて謝罪されました
「いえ。私こそ、足腰が立たないですよね。気が利かず申し訳ありませんでした。お風呂は私が入れて来ますから、貴方はお休みになっていて下さい」
「そんな……っ、俺が行きます! もう大丈夫ですから! さっきのは躓いただけで、もう平気です!」
