
泣かぬ鼠が身を焦がす
第33章 能ある鷹も身を焦がす(サイドストーリー2)
俺が会社の下まで迎えに行くと程なくしていつもと同じ黒い高級車が止まり後部座席から社長が、助手席から伊藤さんが出てきた
……何緊張してんだよ、俺
というか伊藤さん、めちゃめちゃ普通なんだけど
何とも思ってないのか?
歩き出した俺に続いて歩き出す2人
背中に伊藤さんの気配を感じるだけでなんか心臓が早い
違う
違うぞ
これは罪悪感だ
無理やりヤっちゃったから
会議室に案内して、席に座ってもらうと
「……っ」
俺の真正面に伊藤さんが来る形になってしまった
無心だ
無心
今はもう伊藤さんのこと俺が毎日オカズにしてるとかしてないとかそういうことを気にしてる場合じゃない
とにかく仕事に支障をきたさないようにしないと
と気合を入れたはいいものの、結局
「……」
ハッ!?
やばい、また見てた……!?
気がつけば俺の目は伊藤さんの一挙手一投足見逃さないように追いかけていて
だめだだめだだめだ
自己嫌悪に陥っては
「……」
また気がつけば見ているということを繰り返してしまった
会議が終わる頃には俺のライフポイントは0
なんなんだ、俺
どうしちゃったんだよ
