
泣かぬ鼠が身を焦がす
第33章 能ある鷹も身を焦がす(サイドストーリー2)
もしかしたら来ないかもしれない、なんて甘い考えではなく
多分結構な確率で来ない、ぐらいに考えて俺は公園にいた
それなのに
「伊藤さん!」
公園の入り口に伊藤さんの姿を見つけたらから、嬉しくて嬉しくて俺は駆け寄った
あれ、俺
今までどうやって伊藤さんに接してたっけ?
思い出せないし、今はもうそんな失礼なこと出来ない
公園の端、見晴らしが良くて人目の少ないベンチに誘うと、伊藤さんはすごく警戒しているように見えた
当然だけど
そして俺は土下座をして謝罪し、気がついたら
「俺のこと、気がすむまで踏んで貰えませんか!!!」
と申し出ていた
伊藤さんの、意味のわからない生き物を見るような目
いや、わかってるんだよ!!
わかってる!!!
俺が変なこと言ってるのは!!!
けど、綺麗に磨かれた靴を見ていたら我慢できなくなって……!!
懇願する俺の要望に応えて俺の肩に足を乗せた伊藤さん
あぁぁ……やっぱり、硬い感触
ゴリ、って
もっともっと体重をかけて踏んでもらいたいのに、こんなんじゃ足を添えてるのと一緒じゃないか!!
俺は伊藤さんの引こうとした足をがっしりと掴んだ
