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(旧)短編☆中編小説集

第10章 誘惑~からのLOVE②

・北山side

あれから1週間―

思った通り、藤ヶ谷からの呼び出しはピタッと止まっていた。



玉「ミツ」

北「大丈夫だよタマ、フッ」



“いつかこんな日が来る”そう思っていたし。

メンバーの誰かにバレでもしたら終わりだろうと。



玉「今日はTBSでしょ」

北「うん日本人妻の収録」



それが、一番バレたくない相手だったんだ。

続けられるわけがない…



玉「頑張って、ニコッ」

北「おう、フッ」



マネの車で、テレビ局へと向かう。



北「おはようございまーす今日も宜しくお願い致します」

夫人「あら、挨拶しっかり出来たわね北山くん元気」

北「はい」

夫人「顔色、少し悪い気がするけど」

北「そうですか?」

夫人「無理しないで」

北「有り難うございます」



ここんところ、あまり眠れていないせいか。

俺にしては珍しく不眠ぎみとなっていた。

タマは精神状態が不安定だからじゃないかって心配してたけど。

もう立ち直っている―

だって、こうなる事は初めっから分かっていたんだし

覚悟だって出来ていた…が

人間、精神が参っている時は意外と自覚症状がなかったりするもんなんだと。

俺はこのあと知る事となる



北「お疲れさまでしたー」

スタッフ「あっ、北山くんマネージャーさんからの伝言だよ」

北「はい、なんでしょ」

スタッフ「藤ヶ谷くんから連絡があり」

北「えっ?」



どういうつもり?終わらせるんじゃなかったのか。



スタッフ「駐車場で待っているそうです」



俺達の関係は―



北「有り難う…ござい‥ます…」

スタッフ「んっ?」



ふらふらと、おぼつかない足取りで歩き出し。



スタッフ「大丈夫?北山くん」



何も聞こえない、ガクガクと震え始める身体を自分の両手で抱きしめ…

駐車場へと辿り着いたそのとき。

遠目でも分かるあいつの姿を見た途端にクラッと目眩がし。



藤「北山!ダダダダダッ」



誰かが駆け寄って来て自分を抱き留めたのを感じた。

ぷーんと漂う甘い香り。



北「ふ…じ‥が…や」

藤「‥‥っ」



そこで意識が途絶える―

そして、次に眼を覚ました時には。

見慣れた部屋のベットに、寝かされていたんだ。

藤ヶ谷のマンションの…





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