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第2章 はじめまして
ーYoosuke sideー
入学式は気づいたら終わってた。
俺が合格した学科はほぼ帰国子女しかいない国際科で、LHRはみんなどこから日本に帰ってきたのか隣のやつと推測して面白おかしく過ごしてた。
そんな俺も帰国子女で、つい二年前までは中東のアフガニスタンにいた。父さんに辞令がでて海外転勤が決まったのは、確か小学校3年生のとき。それまでは神崎に住んでたのに…と聞きなれない地名に若干の恐怖と、遠足のような期待に満ちたスタートだった。しかも尊敬している父さんが海外での仕事をまかされるなんて。すごく誇らしいと思っていたし、今でもすごく尊敬してる。
日本にはすぐ帰れるだろう、なんて軽く思っていた。
でも結局5年間あっちに住んだ。
その間、神崎のときの友達とは一切連絡先を取らなかった。正確には、取れなかった。
アフガンは俺の価値観を変えた。
生きていくために自力で英語を学んで、コミュニケーション力も身につけた。
好きなタイプも濃い顔になったし、どことなく健気な子に惹かれるようになった。アフガンはそういう子が多かったせいだろう。
そして格差社会、戦争、貧困…数えきれない現実を見た俺は、自分を確立して日本に帰ってきた。
そのせいで中3転校して早々にいじめられたけど、流されやすいクソ野郎になるよりはハブられたほうがマシだ。こんな低脳野郎どもと早くおさらばして自由になるために勉強してやる、くらいに思った。
50ちょぴっとしかなかった偏差値を65まで上げた甲斐もあって、俺はめでたく第一志望校に合格したのだ。
今思えば頑張ってよかったなと心から思う。
おかげで、俺の運命の人に出逢えたんだから。
