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教団 アノニマス

第1章 罪と罰

佐村は、何処か知らない部屋にいる。

「うう・・・・。頭が痛い」

頭痛は、鈍器のような物で殴られた為だ。

一瞬、健忘症になってしまったようだが、記憶が少しづつ蘇ってきていた。

右手で後頭部を触ると、ヌルッと湿っている。

指先には血液が付着していて、僅かに滲むように出血している。

周りを見渡すと、無機質な白い床、白い壁、白い天井が迫ってくるようで、圧迫感がある。

無理して、記憶の断片を繋ぎ合わせてみた。

「此処は、何処なんだ!」

すると、徐々に過去の出来事が朧げに浮かんできた。

「俺は誰かを捜しにきたんだ・・・・・・気がつくと此処に・・・・」

遠くからエナメル質の、靴音が聞こえてきた。

コツッ、コツッ、と段々音が大きくなる。

やがて音がやみ、ガチャッとドアが開いた。

一人の男が入ってくると、佐村に戦慄が走った。見覚えがあった。

懐から拳銃を取り出すと、口角が上がった。

「死ねっ!!」

男が叫ぶと、銃口を佐村に向けた。

その瞬間、佐村は全てを思い出した。

「俺は、興信所に務める探偵なんだ!・・・・」




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