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教団 アノニマス

第1章 罪と罰

ユダヤ人は皆、騙されていた事に気づいた。

これらの奇跡を、神の力と嘯いたのだ。

お前のペテンは既に、ユダヤ人もローマ兵も見抜いていたんだ。だからこそ、処刑された。

人間を騙すだけ騙してそんなに面白いか、お前こそ本物のサタンではないか!!」

「退けサタン!神を試してはならないと聖書に書いてある!」

教祖が、鋭い形相に変化した。

「最後に、俺様ベルゼブルとして言わせて貰う。地獄の帝王ルシファーが待っているぞ。

堕天使ルシファー、そして堕天使イエス・・・。共に地獄の底へ参ろうぞ!ハッハッハッ」

ベルゼブルが叫んだ直後、愛留の顔が元に戻るとその場に倒れた。

一部始終を観ていた、佐村が。

「明石教祖、どうして俺の家族を殺したんだ。あんたは医者だろ、医者が人を殺していいのかよ!

あんたが適切な処置をしていれば、妻の君香は死なずにすんだんだ。その上、一人息子の健人まで・・・。

あんたは立派だよ、人を殺しておいて平気で善人面出来るもんな。

教祖、俺と一緒に死んでくれ!!」

佐村は士門刑事の拳銃を持って、教祖に銃口を向けた。ゆっくりと、引き金に指を掛けると。

「誰だっ!お前は、ぶっ殺すぞ!!」

丸陳流太が威嚇するように喚いて、銃を佐村に向けたのだ。

丸陳流太と佐村・・・睨み合う二人。

とその時だった、3人の前に死んだ筈の君香と健人が無表情に立ち、鮮明な姿となって現れたのだ。

それまで冷静だった教祖が、途端に怯え始めた。

「私が悪かった、あれは事故だったんだ。お願いだ、許してくれ!!」

どうした事か、全身が震え出し、合掌しながら床に跪いた。

「君香、健人、逢いたかったぁ、逢いたかったよぉ」

そう叫びながら、大粒の涙が流れていた。

「クソッ死ね!!・・・あれ?どうしたんだ、身体が動かない?」

どうした訳か拳銃を持つ手が勝手に動き、銃口を自分の口に突っ込んだ。

「ヒーッ、助けてくれ!!」

(ズドーン!)

爆音と共に、丸陳流太の後頭部から脳の破片と鮮血が飛び散った!

その場に、倒れ込んだ丸陳流太を観た教祖は。

「ヒーーッ!!!」

愛留の姿が陽炎のように変容すると、また金の子牛像へと変化した。

黄金色に輝く金の子牛像、後ろに仰け反りながら立ち上がった教祖に、子牛像が突進した。

「神ヤハーベ、助けてくれー!!」

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