好きになったらダメだよ
第7章 一緒に作ったらいいじゃん?
伊都の将来の話、初めて聞いた。
本当はもっと深く聞きたいけど、踏み出せない自分がいる。
何になりたいの?どんな将来を設計しているの?
こんなこと聞いたら、重すぎるだろう。
付き合っているかどうかも曖昧な人間が、相手の将来を奪おうとしているようにしか、聞こえない。
「来年からは理系のクラスになるから、そしたら授業で愛莉と会う時間も増えるね。」
すぐそんなこと言うんだから。
「あのねえ、そんなこと言っている暇があったら、期末テストでは数Bを80点以上とってください。中間で赤点だったんだから、挽回してもらわないと困るの。」
可愛げのない私は、こういうとき、教師としての立場でしか彼に振る舞えない。
会う時間が増えて嬉しいなんて言えるわけがない。
「はーい。じゃあさ、80点以上とったらご褒美ちょうだい。」
「ご褒美?」
「愛莉の家に行かせてよ。」
「……。」
サラダを口に運ぶ手を思わず止めて、伊都の目を見る。