好きになったらダメだよ
第7章 一緒に作ったらいいじゃん?
長かった試験期間が終わったのは、それから1週間してから。
伊都の成績はびっくりするぐらい上向きだった。
諏訪先生が数学準備室に伊都を呼び出して、お褒めの言葉を与えたほど。
「すごいぞ、川田‼︎理系教科は全部80点以上だ‼︎文系科目も70点以下はないし、お前、やればできるじゃないか‼︎」
「今回、めっちゃ勉強しましたから。」
熱く燃え上がる諏訪先生と、いつも通りの気怠さの残る伊都。
私はその横で夏休みも補講の課題を作っている。
久しぶりに伊都の顔をまじまじと眺めた気がする。
今回頑張ったと言うだけあって、目に薄っすらとクマができている。
徹夜した教科もあったのだろう。
「澤田先生も褒めてあげてくださいよ。数Bは88点ですよ。前は欠点だったのに。」
諏訪先生はそう私に話を振ると、
「ちょっと学年会議に。」
と言って、上機嫌で部屋を出て行った。
残されたのは私と伊都だけ。
伊都は制服のネクタイを緩めて、諏訪先生の椅子に躊躇いもなく腰を下ろした。