好きになったらダメだよ
第2章 そのためのセフレでしょ?
「こんばんは。」
開いた扉の向こうには黒のロングTシャツに細身のジーパンを着た川田くんが立っていた。
当たり前なんだけど制服じゃない。
制服じゃない生徒と会うのは教師人生初めてだ。
電車に乗ってここまで来てしまった。
考えないって自分に言い聞かせて、川田くんの部屋のインターホンを押していた。
オートロックなしエレベータなしの三階建のアパートの三階、5部屋あるうちの角部屋に住んでいた。
チャイム1回ですぐにドアがあいて、お風呂上りのような川田くんが姿を見せた。
私の顔を見て、彼は少し驚いたように、でもどこか嬉々とした表情を見せた。
「来ないかと思った。」
「……気まぐれで来ただけだから。」
もう自分が生徒に使う言葉づかいじゃないのは分かる。
彼を生徒以上の目で見ている自分がいる。
「おいで。」
川田くんはグイッと私の腕を引っ張ると中に入れ込んだ。
背中で扉がしまると同時に、川田くんの細い腕が私の腰に回る。
視線を上げると、彼と目が合って、すぐにキスされるのを感じて、慌てて瞳を閉じた。