好きになったらダメだよ
第2章 そのためのセフレでしょ?
歯磨きを終えてリビングに行くと、川田くんはベッドに腰掛けて、テレビを見ていた。
カウンターキッチンを備えた8畳のワンルーム。壁際にベッドがあり、部屋の真ん中にはガラステーブルとモスグリーンのラグ。
ベッドと反対側の壁にテレビが置かれていた。
殺風景な部屋。
学校の物や洋服なんかはウォークインクローゼットに仕舞われているのだろう。
扉の大きさからしても、十分なスペースがある。
「こっちおいで。」
川田くんに手招かれて、彼の前に後ろから抱きしめられるような感じで座らされる。
それだけのことでも、心臓がトクトクと音を立てる。
トレーナーの下は素肌だ。川田くんの体温が伝わりやすい。
「まさか本当に来ると思わなかった。」
お腹に手を回され、耳元で囁かれる。
「だって来るまで寝ないで待ってるって書いてたから。」
テレビからは今年ブームのお笑いタレントのドッキリ企画が流れている。
だけど内容は頭に入ってこない。
耳元で囁く川田くんの声がくすぐったくて、そこにしか気持ちが傾かない。
「金曜日の夜だし、彼氏とデートじゃなかったの?」
「……彼とはレストランの前で解散したわ。」
「……ふうん。彼氏はいるんだ。」
川田くんはペロッと舌を出して、私の首筋を舐める。
「あっん……」
「セックスしなかったの?」
「……最近はそういう関係じゃないから。」
「…… 。」
「飽きれた?」
「別に。そのためのセフレでしょ?」
川田くんは首筋に唇を押し付け、お腹にあった手をスライドさせ、円を描くように胸を揉み始める。