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好きになったらダメだよ

第3章 声は出したらダメだよ?



週明け、朝の数学準備室にはすでに人がいた。


「おはようございます。」


準備室にいたのは、40代後半の数学主任。


いつも小綺麗にしていて、濃紺のスーツにアイロンのかかったシャツ、年相応のネクタイを身につけている。



だいたい朝に一番早く出勤するのは私なのだ。



数学の担当の中で一番若いのは私で、準備室の湯沸かしや簡単な掃除は担当している。


「今日は仕事が残っていてね。」


そう言って主任はコーヒーを入れて、私に差し出してくれた。

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