
好きになったらダメだよ
第4章 大人って大変だね?
寝間着を着なおして、伊都もスェットを着て、ベッドに横になった。
ベッドはシングルなので、2人並ぶと少し窮屈だ。
「こっちおいで。」
エッチのときとは違い、伊都は穏やかで私の腰に手を回して、落ちないように抱きしめてくれる。
このギャップにダメなんだけど、心臓はキュッとなる。
「明日はデート?」
「ううん。」
保から出張だってメールがあったから。
「俺とデートしない?」
「えっ?」
見上げると、頬を微かに染めて目をそらす伊都。
「デートって……」
そりゃ誘ってくれるのは、嬉しいけど……
「だ、ダメだよ!だって、もし誰かに見られたら……」
ただでさえ橘にはバレてるのに。
「いいじゃん、別に。」
伊都は気楽に簡単に答える。
「ダメ!だって、いや、こんな関係で言える立場じゃないけど……やっぱり私と伊都は先生と生徒で…だから…もし見つかったら…」
伊都はくしゃくしゃっと私の髪を撫でた。
「大人って大変だね?」
「……」
「じゃあ、遠くに行こう。」
「えっ?」
「大丈夫。俺が連れて行ってあげる。愛莉、お疲れみたいだから、息抜きした方がいいよ。」
「……。」
「だから今日はゆっくり休んで。明日は遠出なんだから。」
額に伊都のキスが落ちた瞬間、なぜだろうか、鼻の奥がツンっとした。
