
好きになったらダメだよ
第4章 大人って大変だね?
朝は一緒にご飯を食べた。
目玉焼きにウィンナーにサラダ。
この間は作ってもらったから、お返しに私が作った。
「誰かと一緒に朝ご飯を食べるのは久しぶりだなー。」
伊都は目玉焼きにプスッと箸を入れる。
半熟卵が皿に黄色く広がるのと同時に、私の心にも疑問が広がる。
「どうして伊都は一人暮らししてるの?」
そう、高校生で一人暮らしって、やっぱり珍しいと思う。
この高校がスポーツ推薦とっているとか、超進学校の私学や大学付属の高校なら分かる。
でも、言ったら悪いがどこにでもある普通の公立高校だ。
学科だって普通科しかない。
公立高校にしたら、校風が自由なのに進学率が高いって魅力はあるかもしれないけど、それ以上の特色があるわけではない。
「家庭不和だから、うち。」
吐き捨てるような詮索されたくないような伊都の言い方。
「家に居づらいの?」
「まぁそんなところ。でも見捨てられてるわけじゃないから、心配しないで。最低限の生活費と学費はもらってるから。」
なんでだろう……
ぶっきらぼうに言い放つ伊都にこれ以上踏み込めない。
教師としてならできるのに。
今の私にはできない。
