好きになったらダメだよ
第4章 大人って大変だね?
二人乗りをするのは初めてだと言うわりには、伊都のハンドルさばきは安定していて、何も杞憂することなく彼に身を預けた。
腰に腕を回して、背中にしがみつき、額を押し当てる。
伊都の体温と匂いを間近に感じ、風を頬がなでるたびに、このままどうなってもいいとすら思えた。
途中のコンビニで飲み物を買って、伊都がオススメだっていうパン屋でサンドイッチを買ったら、あとはただひたすら海岸線を走り続けた。
「大丈夫ー?腰、痛くない?」
赤信号のたびに伊都は、私の様子を気にかけてくれる。
「平気だよ。」
むしろこうやって走り続けることで、自分の中にある負の部分が浄化されていくようにすら感じる。
学校のある校区からはもう抜け出している。
ここがどこかも検討もつかないけど、それでもかまわなかった。