好きになったらダメだよ
第5章 もし本当になったらどうする?
「保のその気持ちは嬉しいけど……私たちこのままでいいの?」
「このままって?」
「……もうずっとエッチしてないよ。」
静かに茶碗に保が箸を置く。
鉛のような重たい間。
どちらが先に口を開いたらいいのかすら分からない。
「……なあ……」
保が缶ビールを一口飲む。
「そんなに必要?セックスって。」
「えっ?」
「いや、俺、もう子ども作るときでいいんじゃないかなってのがあって。」
へっ?何それ?
「愛莉のことは可愛いと思ってるよ。結婚もしたいって気持ちもある。でもセックスは自分の中でそんなに重要視してないってか……。」
「ちょっと待ってよ!それは保だけの気持ちでしょ!私……そんな……」
そんな関係、寂しいよ。体重ねたときに、「あ、やっぱり好きだな。」って思うときもあるのに。
「ちょっと待てよ?愛莉ってそんなにセックスとかこだわってなかったじゃん。どうしたんだよ、急に。なんか変だよ?」
「……。」
変なんかじゃないよ。ずっと言えなくて黙っていただけだもん。
本当の気持ちを隠してきただけだもん。
「俺、ちょっと戸惑ってる……。正直、愛莉がそんなこと言うと思ってなかったから。」
「……。」