好きになったらダメだよ
第5章 もし本当になったらどうする?
[愛莉は本当にそれでいいの?それで幸せ?]
スマホに映る親友の夏美からのメッセージを見て、職員室の机に突っ伏して、溜め息をついた。
「月曜日の朝から不景気面見せんなよ。」
隣の席で新聞を広げながら、橘が私の机にコーヒーを置く。
「飲めよ。」
「……ありがとう。」
変に優しい橘が若干薄気味悪くは感じたが、有り難くコーヒーを頂戴することにした。
「彼氏とケンカ?もしくは川田と?」
「うるさいなあ。」
濃いめのブラックコーヒーが、気怠い気分を少しだけ晴らしてくれる。
「おまえさー、そんな顔だと絶対幸せになれないぞ。」
「はあ?」
「なんつーか、自分の気持ちに嘘ついてね?」
「……。」
自分の気持ちに嘘……。
ガタリと回転椅子を引いて、橘はリーディングの教科書と名簿を持って立ち上がる。
「授業、行ってきまーす。」
言いたい放題言って、橘は私を置いていってしまった。