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ぜんぶ二人ではじめて

第10章 ドキドキの夏休み

それから少し経って、

新学期が始まった、ある日の放課後。

輝くんが、

「市川……話したいんだけど、ダメかな?」

水道のところで、背後から話しかけてきた。

「今?」

「うん。」

今日は部活がないから、

特に予定もない。

「いいよ。」

輝くんにサッカー部の部室に案内された。

明るい部室だけど、

やっぱ汗臭い。

でも、別に気にはならなかった。

「市川、この前は、本当にゴメン。」

ガバッと頭を下げた、輝くん。

「もう、いいよ。」

「許してくれるの?」

「もう、しないって約束して?」

「うん。もうしない!市川が嫌がることは絶対しない!」

「ありがとう。」

「ただ、言わせて?」

「ん?」

「オレ、本気で市川のこと振り向かせたいって思ってる。市川のこと以外考えられない。だから!オレとデートして?」

「え?デート?」

「うん。」

「……ゴメン。輝くん。そういうことは私、好きな人としたい。」

「そっか。困らせてゴメン!許してくれてありがとう。……じゃ、気をつけて帰れよ。じゃあな。」

そう言って、輝くんは無理やり笑うみたいに不自然な笑顔で手を振って、部室を出ていった。

ズキン

ズキン……

胸が傷んだ。

ゴメンね、輝くん。

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