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ぜんぶ二人ではじめて

第12章 特別扱い

二人はそのまま、小川の方に降りて行った。

「良いな。無邪気で。」

「そうだね。」

友達から脱したい!!

「ヤスくん?」

「んー?」

「ここらへんの人たちって、なんでみんな、名前で呼びあってるの?仲良いから?」

と、素朴な疑問をぶつけた。

「いや、ただ単に、同じ名字が多いからだろ。同じ学年に同じ名字がいなくても、一つ上か下にはいたりするからね。」

「そっか。確かに、同じ名字の人多いもんね。区別するためなんだね。」

「市川さんは男子から名前で呼ばれたことある?」

「ないよー。呼ばれたいけどね。」

呼んでほしい。名前で。

「名前で呼んでも良いの?」

「えっ?うん。」

ドキドキする!

「ちょっと恥ずかしいけど。」

ヤスくんもドキドキしてる?

「……」

ヤスくんが見つめる。

「“ナナちゃん”?」

‼︎‼︎!キューンッ!

胸が鳴る!

「ありがとう。嬉しい!」

素直な気持ちを伝える。

「呼び捨ては幼なじみ扱いになるからさ。」

視線をずらして、サラリと言うヤスくん。

照れ隠し?

「嬉しいよ。」

笑顔で答えた。

「ナナちゃん……響きが良いよね!可愛い!」

「ありがとう!」

「ずっと、名前で呼びたかったんだ。」

クールにカッコいいことをさらっと言った。

瞳が重なる!

ドキドキが止まらない。

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