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ぜんぶ二人ではじめて

第13章 はじめの一歩

コンコン!

ヤスくんの部屋のドアがノックされた。

「はい?」

「お兄ちゃん!入って良い?」

円香ちゃんだ!

「ダメにきまってるだろ?」

なんて言って追い返そうとする、ヤスくん。

「えー?お兄ちゃんの彼女さん、見たいの!」

バタバタ…

ドアの前で足をバタつかせる音がする。

引き下がらない、円香ちゃん。

「さっき邪魔しちゃ悪いから今日は会わないって言ってただろ?」

ヤスくんが言う。

「気が変わったの!」

円香ちゃんと美月ちゃんが二人で言う。

「今、すっげぇ良いところなんだけど…邪魔するんかよ。」

なんて意地悪を言う、ヤスくん。

顔が真っ赤になる。

「えー?何してんの?トランプ?」

すぐさま純真無垢な答えが返ってきて、ますますドキドキする。

抱き締めてた腕を背中で少し力を入れた。

そして、

「ヤスくん、私も円香ちゃんに会いたいな。」

私がヤスくんに言うと、

「せっかく良いところだったのになー。」

なんて小さな声でぼやいてる。

「またあとで……続き、しよ?」

私は笑いながら言った。

「あ……うん。」

そう言って、ヤスくんが仕方なく離れた。

離れると急に恥ずかしくなって、ヤスくんと目が合うと、二人とも顔が真っ赤になった。

スーハー…

ヤスくんが深呼吸した。

私も真似して、落ち着きを手繰り寄せるように急いだ。

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