テキストサイズ

ぜんぶ二人ではじめて

第14章 そっとギュッと

side 泰宏

とある日曜日。

俺は、ボーッと窓の外を眺めてた。

何もない。

目の前にあるのは、山。

紅葉が良い感じだ。

ただこうしてボーッとしながらも、やっぱり考えることは、市川さんのことばかり。

心の中では、「ナナちゃん」と呼んでいるが。

朝から妹の円香は、彩月の妹の美月と遊びに行ってる。

円香たちも今年から同じキャンパスに通う。

俺たちが今通ってる学園は中、高、大は同じ敷地にあるんだけど、小等部のキャンパスだけ離れてる。と言っても800メートルくらいらしいが。だから円香と同じキャンパスに通うのは久しぶりだ。

円香は美月と仲が良くて、しょっちゅう一緒にいる。

近くの空き地に作った、バスケットのコートで遊んだり、お互いの家を行ったり来たりしてる。

俺もナナちゃんと遊びたいなー。

ナナちゃん、今頃何してるんだろう?

そういえば、今日はじいちゃん、ばあちゃんの家に行くって言ってたな。

なんて、ナナちゃんのことを考えていると……

ナナちゃんとあれからなんだか気まずくて、まともな会話ができなかった。

最後の一言、いらなかったよな。

それがひっかかってた。

ブロロロ……

ストーリーメニュー

TOPTOPへ