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ぜんぶ二人ではじめて

第15章 発表会!.

side 匿名


市川…ヤスくんと…付き合うことになったんだ。

ツキアウ…

市川が?

俺以外の人と…

本当かよ?

部活も気が引き締まらない。

自分でもボーッとしてるのが分かる。

市川がヤスくんと見つめ合ってる現場を目の当たりにした。

あの瞳の中にいるのが俺じゃない…それが現実…。

ファンクラブのメンバーも肩を落としてる。

俺の人生で二番目にショックな出来事だ。

トップは、忘れられてること。

それ以外ないけど…でも、思い出さなくても良いから、市川の一番近い存在になりたかった。

市川…
市川…
市川…

何度心の中で呼んでも、叫んでも、振り向かない。

市川がどんどん俺を置いて歩いて行ってしまう…

なぁ?百華…。
どうにかしてくれよ。

なんて、百華に頼る始末。

時々、百華が俺の夢に出てくる。

夢の中で百華は、必ず最後に、

『大丈夫!未来はあなたの味方だから。七海を許して?お願い。』

ヤスくんに惹かれ始めた頃から、そう言っては消えてく夢を見るようになった。

なぜか信じてしまう。

未来が手に入るならそれで良いかなって思ってしまう。

だけど、市川の一分一秒、全てを俺で埋め尽くしたかった。

その願望が叶わない。

俺は初めて枕を濡らしながら眠りについた。

どうにもならないから。

悔しいから。

夢の中の百華に問いかける。

『俺は本当に市川の未来で隣にいるの?』

後ろを向いた百華。

『あなただけだったの!私と七海を見分けられたの。そんな人、これから先現れない!信じて!七海を!…私を…!』

向こう向きで答えた百華が、振り向いた!

そして俺の方に走って来たかと思ったら、高くジャンプして、姿が薄くなった。

『未来は必ず…信じて…』

そう言って声が小さくなっていった。

俺の手に空から雫が落ちてきた。

『百華…涙?』

そして、病院で百華が息を引き取った場面に切り替わった。

ドクンッ!

俺の心臓が大きく鳴った気がした。

それから百華の死を悲しみ、嘆く百華の両親。

百華の隣に、意識がない、眠り続けてる市川の姿…

そんな場面を見て俺はまた涙を流していた…

ハヤク…オモイダシテ…

市川に心の中で強く唱えた。

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