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ぜんぶ二人ではじめて

第2章 そんなはずないのに

二人の優しさに触れることができて、私は見学中、ほんわかした気持ちでいた。

晃くんのこと、好きなはずなのに、

泰宏くんに触れられた場所がなぜか、熱くて……

思い出すとドキドキが止まらなかった。

何でだろう……?

私が好きなのは晃くんだよね……?

ドッヂボールは、Aチームの勝ちとなった。

みんなでハイタッチして喜びを分かち合っていた。

泰宏くんが私の方に向かって走ってきた。

「お疲れ!市川さん、具合大丈夫?」

心配して来てくれたんだ。

また……

ドキドキが駆け足になる……

「う、うん。運んでくれて、ありがとね。」

「いいえ。」

そう言って、冷たく冷やしたハンカチを渡してくれた。

「あ……ありがと。」

泰宏くんの方が必要なはずなのに。

「気持ちいい!」

そう言って笑顔で答えた。

「市川、大丈夫?」

「七海ちゃん、具合どう?」

次々にみんなが来てくれて、すごく嬉しかった。

「大丈夫だよ。ありがとう。晃くん、運んでくれて、ありがとね。」

そう言うと、

「市川、軽すぎだろ。もっと食えよ。」

そう言って、苦笑いしてた。

こんな普通に晃くんと話せるなんて、嬉しいはずなのに……

泰宏くんとの会話の方が、頭の中で何度もリピートされていた。


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