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ぜんぶ二人ではじめて

第22章 新しい景色

田中先生……

めちゃくちゃ愛を感じます。

「ヤスくん、田中先生、良い先生だね。」

「だったらコンドームくれたら良いのに……。」

「えっ?」

「いや。何でもない。」

「聞こえました。ん、もー!ヤスくんは!せっかくヤスくんのこと好きになって本当に良かったって思ってたのに。台無し!」

図書室だということを忘れてやや大きめの声を出してしまった。

「ナナちゃん、シーーッ!」

ヤスくんに言われて、

ハッとした。

でも、あんまり人がいなくて、助かった。

ファイルの最後に[お試し品]と書いてある、小さなビニール袋があった。

それは何となくだけど、正体が分かった。

とりあえず、今はヤスくんには黙っておこう。

私たちはそそくさと図書室を出て、音楽室の個別レッスン室に行った。

「ねぇ、ヤスくん?」

「ん?」

「もし、もしもだよ?」

「うん。」

「もしも、今、その……避妊具があったら、ヤスくんはすぐにでもしたいって思う?」

そう聞いたらマジメな顔で、

「そりゃぁね。昨夜のこともあるし。俺、ほとんど寝てないからね。だけど、ナナちゃんの心の準備が整わないうちは、しない。昨夜のだって、すっげぇ気持ち良かったし。」

そう答えた。

昨夜のことを思い出す。

顔が熱い!!!

「……そっか。ありがとう。」

それだけ答えた。

「ナナちゃんはさ?」

「ん?」

「俺にさっき抱きついたじゃん?」

「うん。」

「ああやって、いっぱいくっつきたいとか、思う?」

「お、もう、よ。ヤスくんのこと、好きだもん。いっぱいいっぱいくっつきたいよ。」

目の前にヤスくんしか見えない。

ドキドキドキドキ……

ギューーッ!

ヤスくんが抱き締めた。

「こーやって、くっついてたい?」

「うん。」

「今は座ったままだから、大丈夫なんだけど、立って?」



立ってからまたギューーッ!

私も背中に手を回す。

しばらく抱き合ってると、

「やっぱなー。立って抱き合うと、すげぇ、反応する。」

なんて言う。

「どんな?」

「……どんなって……なんつーか……できる状態になっちゃう。ってこと。」

「何を?」

「……ナナちゃんは天然なのかな?やっぱ。」

「えー?」

「この状況でできる状態って言ったら一つしかないじゃん。」

……

分かりません……

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