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ぜんぶ二人ではじめて

第22章 新しい景色

「ただいまー。」

「お邪魔します。」

挨拶と同時に……

プルルルルル……

家電が鳴った。

「おかえり。はい、市川です。」

と、お父さんが出た。

「はい。ああ!お世話になっております。そうなんですか?!うちは大丈夫ですよ。お気になさらずに。泰宏くんに代わりますね?」

と。

「泰宏くん、お母さんからだよ。」



「ありがとうございます。」

なんだ?

「もしもし?」

「ヤス!家の鍵が壊れちゃってね。みんな家に入れなくて……」

「マジで?大丈夫?」

「うん。ひぃばあちゃんとじいちゃん、ばあちゃんは今日から旅行行ってるから良いんだけど。円香は美月ちゃん家に泊めてもらうから、あんたも七海ちゃん家、泊めてもらって!?私と父さんは適当に泊まるから、何かあったら携帯にかけて?」

「そりゃ、良いけどさ。鍵、いつ直るの?」

「それが、鍵屋さん、お葬式入ってて、早くても3日後って、いうんだよ。ちょうど着替え持ってたでしょ?」

「まぁ、雨降るって言ってたしね。でも足りないよ。」

「余分にお金渡してあるでしょ?買いなさいよ。」

「あぁ。まぁ……分かったけど……。それまでナナちゃん家に世話になるの、申し訳ないよ。」

「だって、昌樹、一家でハワイだし。この辺の人たちほとんど旅行行ってるんだから仕方ないでしょ。市川さんにはくれぐれもよろしくお願いしますって伝えるよ。」

「分かった!くれぐれもね!」

「ヤス!あんた!まだ責任取れないんだから、妊娠させちゃダメだよ?分かった?」

「なっ!してねーよ!」

「なんだ。そーなの?じゃあなおさら!チャンスとばかりにそそのかしちゃダメだからね?」

「放っとけよな。」

「はいはい。じゃあ、市川さんに代わって?」

「うん。」

そんなわけで、俺は連泊することになった。

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