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ぜんぶ二人ではじめて

第3章 勘違いの恋

お家の人が心配してるんじゃないかと思って、電話を入れた、泰宏くん。

「お家の人、心配してなかった?」

「してた。」

「怒られた?」

「いや。事情があるなら電話くらいしろって言われただけだよ。」

「そっか。」

「ゴメン、市川さん。母さん、迎え来るって。待たせてもらえる?」

「うん。良かった。私もその方が安心。」

「明日、チャリ、取りに朝、寄って良い?」

「もちろん。」

また……温かくて優しい空気が包んでくれる。

優しい……その声のおかげかな?

「お母さん来る間、お茶でも飲む?」

「あ、ありがと。」

お茶を淹れて、私は隣で洗濯物を畳んだ。

「はぁぁ……っ」

あくびが出ちゃった。

眠い……

「大丈夫?」

「ん……。」

眠い目を擦りながら、泰宏くんの方を見た。

「どうかした?」

「い、いや。」

泰宏くんの顔が赤かった。

「そう?」

「おっと!」

洗濯物の山から、洗濯物が泰宏くんの方に転がった。

「あ、ありがと……」

手渡しするだけなのに……また……ドキドキが……

泰宏くんの顔が赤いから私も緊張する。

拾ってもらった洗濯物を畳もうと広げると、私のパンツ!

目の前で広げちゃって、泰宏くんの方を見ると、真っ赤な顔で視線反らしてた。

「ゴメンね!今日、恥ずかしいことばっかり……で……。」

そう伝えると、

「いいよ。オレ……市川さんと……ドキドキするの、嫌じゃなかったよ。」

泰宏くんが真剣な瞳でそう言うから、

「わ、私も!」

そう答えていた!

二人で顔を見合せた。

「市川さん。今日、すげぇドキドキした。」

見つめるから恥ずかしい!

「恥ずかしぃよ。……私もいっぱいドキドキしたよぉ。」

お互い、近寄る。

ドキドキしながら震えながら腕を伸ばした。

泰宏くんも腕を伸ばして体を寄せようとした。

ピンポーン…………

ドキッ!!!

我に返る。深呼吸して、

ドアを開けると、

「根岸です。泰宏がお世話になります。」

そう挨拶してくれた。とても優しそうな、お母さん。泰宏くんの優しい空気は、お母さん譲りみたい。

「市川七海です。こちらこそ、お世話になっております。」

私も挨拶を交わして、サヨナラした。

そのすぐあとにお父さんとお母さんが帰宅した。


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