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ぜんぶ二人ではじめて

第4章 晃くんが分からない

翌日、泰宏くんが朝、私の家に寄ってくれた。

「市川さん、おはよう。」

「おはよ、泰宏くん。バスで来たの?」

と、聞いたが、すごい汗!!

バスじゃないな。

体操着だし。

まさか!

「いや、走ってきた。」

「やっぱり!?スゴイね。」

「そんなことないよ。」

私にはムリだなぁって思った。

「泰宏くん、昨日は本当にありがとう。」

改めて伝えた。

「いいえ。あれからご両親、すぐ帰ってきた?」
 
「うん。今朝はもう仕事に行っちゃったけど、泰宏くんのこと話したら、ちゃんとお礼言いたいって言ってたよ。」

「そう。別に良いのに。」

そう言って照れたように苦笑いした。

あ。この笑顔に昨夜、抱きしめて欲しかったんだ、私。

思い出しながら、そんなことを考えてる自分が恥ずかしくて、下を向きながら、

「あと、ハンカチも。本当にありがとうございました。」

そう言って小さなチャック付きの可愛いビニールに入れて返そうと手渡した。

「わざわざアイロンまでかけてくれたの?」

そう言いながら受け取る、泰宏くん。

「うん…。」

少し…指先が触れた。

ドキドキする…

「あと、お礼に……お弁当のおかず。ある物で申し訳ないけど、良かったら…」

そう言って、巾着袋を手渡す。

「マジ?良いの?」

「うん!クッキーとかにしようか迷ったんだけど、何となく泰宏くんはこういうのが良いかなって思って…。」

「そうなんだ。ありがとう。」

そう言って、素敵な笑顔をプレゼントしてくれた。

ドキドキしながら一緒に登校した。

私は毎朝、一人で登校してたから、少し驚いたように、昇降口で……

「あっれ?市川とヤスくん……。おはよう。」

晃くんに挨拶された。

「おはよー、晃くん。」

二人で返すと、晃くんが、

「市川、今日、日直、よろしくな。」

と。

「うん。よろしくー。」

そういえばそうだった!

教室に着くと、他の生徒はまだあまり来てなくて……カバン置いて、トイレに行ったあと、晃くんに……

「市川……ちょっと良い?」

と、言われ、ついていった。

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