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ぜんぶ二人ではじめて

第32章 吐息

side 泰宏

ナナちゃんが幸せそうに笑う。

夕方、ホテルに戻って、部屋で話す。

「ナナちゃん……疲れた?」

「ううん!全然!楽しかったよ!」

「体、動かせそう?」

「うん!」

「じゃ、プール行く?」

「プールあるの?」

「あぁ。あるよ。水着も貸し出してるから大丈夫。」

「ヤスくん……ありがとう。プール……も良いけど、私……」

ん?どした?何やら言いずらそうだな?

「ヤスくん忙しいのにいろいろ計画立ててくれてありがとね。すごく嬉しいよ。」

「良かった。」

それじゃないだろ?本当に言いたいこと。何だかは分からないけど。

障子の向こうにある、テーブルと椅子。その椅子に座ってた。

そわそわしてるナナちゃん。

何か言いにくいことがあるんだな?

「どうかしたの?」

精一杯、優しい声で聞いた。

かぁぁぁ

ナナちゃんが真っ赤になった。

「ヤスくん……私、ここのところずっと……ヤスくんと……」

そこまで言うと、もっと真っ赤になった。

ん?

ここのところずっと?俺と?

そっか。

分かった!

俺は向かい合ってた席を立って、ナナちゃんの目の前に行った。

「俺と、何?ちゃんと聞くよ?」

ほんとはすぐにでもキスしたい。

すっげー、強く抱き締めたい!

ナナちゃんを見つめる。

俺も照れるけどさ。必死でクールを保つ!

「ヤスくん……寂しかったよ……」

そう言って唇をキュッと結んだ。

「ゴメン。」

「ううん!良いの。旅行のために頑張ってくれたんでしょ?」

「あぁ。ナナちゃんの誕生日、最高の日にしたくて。」

「私、すごく嬉しいよ!」

瞳が潤んできた。

すごく可愛い。

俺はもっとよく見たくて、ナナちゃんに近づいた。

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