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ぜんぶ二人ではじめて

第32章 吐息

「でも!私、ヤスくんとどこかに行くのも好きだけど、私、ヤスくんがそばにいてくれればそれですっごく幸せだよ?」

そう言って見つめた。

ドキン!

ナナちゃん……

「そっか。そうだよな。俺も、ナナちゃんといられるだけで幸せだよ。」

「うん……旅行、連れてきてくれてありがとう。」

「うん……」

これからは寂しい思いをさせないようにしよう。

「ナナちゃん……二人きりになるの、久しぶりだな。」

「うん……」

まだ、夕方……

真っ赤に染まったナナちゃんの顔を覗き込んで、

おでこに

「(チュッ)」

リップ音をたてる。

「あ……」

「(チュッ)」

次は、右頬。

久しぶりだからか、すげぇ緊張する……

でも、ナナちゃんもきっと同じなはず。

「(チュッ)」

左頬に。

顔を放して、見つめる。

潤んだ瞳が可愛くて思わず瞼を指で触れる。

「恥ずかし……」

ナナちゃんが反応する。

「ベッド、行こう?」

見つめながら言う。

「あ。う、ん。」

かなり照れてるのが分かる。

ナナちゃんのドキドキが移りそうだよ。

「可愛い。ナナちゃん……」

俺は手を差しのべた。

ギュッと、手を握り、スッと立つ、ナナちゃん。

もう我慢できなくて、俺は世界一可愛い彼女を抱き寄せた。

「あっ……ヤスくん……」

「ナナちゃん……」

ドキンドキン……

二つの鼓動が共鳴する。

そっと離れて、ベッドに向かう。

「あっ……」

ナナちゃんが躓いてその場にしゃがんだ。

「大丈夫?」

「う、うん。何だか緊張して……」

そう言ったナナちゃんをお姫様抱っこでベッドに、運ぶ。

トサッ……

優しくベッドに、横にする。

ドキンドキン……

ナナちゃんの頭の横に左手をついて、ナナちゃんの上になる。

ナナちゃんが恥ずかしそうに瞳を反らす。

ナナちゃんの頬を右手で包んで視線を合わせる。

瞳を閉じたのを確認して、

そして、

「(チュッ)」

優しく唇にキスをおとした。




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