テキストサイズ

ぜんぶ二人ではじめて

第4章 晃くんが分からない

教室に行って、日直の名前を書き直す。

次の授業の準備のため、泰宏くんと職員室に向かう。

晃くんの顔は見れなかった……。

まぁ、日直なんて所詮、雑用だし、いつもそんなに仕事ないけど。

バタバタバタ…………

「市川!」

あ!晃くんの声。

振り向けず、止まるだけ。

「何でヤスくんなの?俺にどんだけ妬かせる気?」

私の背中に向かってそう言った。

ちょっと待って!

ここ、職員室の手前の廊下……声が響くよ?!

私が困った顔をしていると、

「晃くん!俺と市川さん、これからやることあるから、そういうのは後にしてくれる?」

泰宏くんが言った。

「ヤスくんにも聞きたい!」

全然、話聞いてくれない。

ほんと、変なの、晃くん。

「何?」

「ヤスくんは、市川のことが好きなの?」

「え?」

私が反応すると、泰宏くんが、

「大丈夫だよ。そのままそっち向いてて良いよ。」

私に話してくれて、

「好きなのかどうか分からないから、これからどんどん距離を縮めて、お互いの気持ちを確かめてくつもりだよ。」

と、晃くんに向かって言った。

その横顔が凛々しくて、心臓がバクバク言ってた。

「なんだよそれ。市川もヤスくんと同じ気持ちなの?」

「(コクン)」

「オレらもいるからね!忘れんなよ?ヤスくん!宣戦布告!する。」

「は?」

そんな私たちの反応なんて気にも止めず、

「俺たちはヤスくんと市川の心を射止めるために駆け引きなく、堂々と勝負する!そういうことだから。よろしくな。」

俺たち?

増えてない?

あ、晃くん……行っちゃう。

「晃くん!ちょっと待って!駆け引きなく、は、良いよ。ただ、市川さんが嫌がることはなし!ね?」

泰宏くんが伝えてくれた。

「了解。」

「あと!俺たちって誰?」

「それは追々伝える。」

そう言って廊下を歩いていった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ