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ぜんぶ二人ではじめて

第4章 晃くんが分からない

「抱き締めたかった!」

そう言った!

体が熱くなって、自分ではどうすることもできないくらい、ドキドキしてて、

泰宏くんが今にも抱き合える距離にいるのに、

全然嫌じゃなくて……

「……私も……」

消えそうな声で言った。

「同じ気持ちだったんだ。……市川さんは俺とドキドキするの、嫌じゃないんだよね?」

「(コクン)」

「俺も。今はそれで良いんじゃね?」

「ん?」

「俺さ、自慢じゃないけど、今まで女子にコクられたこともないし、俺も誰か特定で好きになった人いなかった。」

泰宏くんの目が、とても真剣で、かっこよくて…………ドキドキする。

「うん。」

「昨日、市川さんに恥ずかしいことして、すっげぇドキドキした。……今もドキドキしてる。これが何なのか……まだよく分からない。でも、他の女子と昨日みたいなことはしたくない。」

「ん……」

ドキドキ……するよぉ。

「この気持ちが何なのか分かるまで、とりあえず、今はそこまでで……あとは少しずつ確認していくっていうのは…どうかな?」

泰宏くん……

私のことを想って、自分のことも大切にしてる言葉だって思った。

「うん。良いよ。えっと……その……よろしくお願いします。」

思いっきり照れながら、頭を少し下げた。

「こちらこそ、よろしくね。」

一歩……近くなった。

「一つ、質問……。」

「ん?」

「市川さんは、抱き合うとか、キスとか、そういう経験はある?」

「キスはないです。……不可抗力だけど、抱き締められたことは……ある。」

「合意で抱き合うのは?」

「ないよ。」

「……抱き締めても……良い?」

「えっ!?えっ!」

「抱き締めたい!」

「……あっ……うん……」

バクバク……バクバク……

キュッ……

そっと……抱き締めてくれた。

「不可抗力じゃないよね?」

「(コクン)」

「すっげぇドキドキする!」

「わ、たしも!」

「苦しくない?」

「うん。」

優しく抱き締めてくれる。

「…柔らかいね。」

「えっ!?」

「市川さん……柔らかい。」

ドキドキ…………

「泰宏くん……そーゆーの、恥ずかしいッ!」

「ん……ごめん。俺も。」

そう言って離れて、恥ずかし過ぎて背中向けた。

昨日とは違う……

全然違う……

胸がドキドキしっぱなしだ。

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