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ぜんぶ二人ではじめて

第37章 初試合

side 泰宏

「ヤス!ちょっと……」

主将に呼ばれて、ボールを晃くんに投げて、走り寄った。

「はい!」

「先日の事件で、動きが出たらしいぞ。」

主将が監督にも話す。

「そうなんですか。」

「先生の都合で悪いが、試合のあとすぐに警察に行かなきゃならないから、今、話したいんだそうだ。これから、お前を使おうと思ってるんだが、メンタルは大丈夫か?」

「大丈夫です。吹奏楽部に関係者がいるので、一緒に聞いても良いですか?」

レギュラーかどうかは分からないな。

ピンチヒッターとかもあり得るからな。

「あぁ。構わないよ。」

そして、俺はナナちゃんと昌樹を呼んだ。

「ヤスくん……どうしたの?」

可愛いナナちゃんが昌樹と走ってきた。

「悪いな、お前たち。詳細はこれから聞いてくるからまだ分からないんだけど、金田を怪我させた相手が分かった。名前、知りたいか?」

金子先生がそう聞いてきた。

「それは……俺は知りたい!」

昌樹が言った。

だろうな。

「待てよ、昌樹。そこはさ、彩月が知りたければ教えてもらって、の方が良いんじゃないか?」

俺が提案する。

昌樹は自責の念が強いからな。

「そうかな?」

「あぁ。彩月が知りたくないとして、お前が知ってたら、彩月も複雑だろ?」

「そっか!そうだね。」

昌樹が納得した。

「ナナちゃんも名前は聞かなくて良いかな?」

「うん。彩月ちゃんに任せる。」

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