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ぜんぶ二人ではじめて

第37章 初試合

譜面台と楽器を片付けるために、何度かバスと玄関を往復する。

昌樹くんが気にかけてくれてる。

3度目の往復の帰りに、足元がふらついた。

ん?

昌樹くんが、

「大丈夫?七海ちゃん、顔色悪いよ?」

「大丈夫……」

フラッ……

目の前が部室棟!

「ヤスくん……」

「野球部の部室の前に行く?」

「うん……」

昌樹くんに支えられて、壁に寄りかかって、ヤスくんを待った。

ヤスくんパワーが足りないのかな。

中で「30分休憩とったあと、練習!」と聞こえた。

すぐに、ヤスくんが出てきた。

「どうした?やっぱ、寝不足だからか?」

私を見てすぐにそう思ってくれた。

ヤスくんに一緒にいたいことを伝えると、保健室に行って寝ろって言われた。

「おんぶしてくよ?」

そう言った時、

「市川、大丈夫?」

気にかけてくれる、竜一くんと晃くん。

「保健室行くわ。」

ヤスくんが二人に伝えた。

竜一くんを見ると、ぎゅって胸が苦しくなった。

それを忘れるかのように、ヤスくんのユニホームの袖を掴んで、

「抱っこが良い。」

と、言った。

「しょうがねーなー。」

と、言ってヤスくんが照れながら、お姫様抱っこをしてくれた!

昌樹くんが、荷物を取りに行ってくれた。

首に手を回して、もっと距離を縮める。

「ありがと……」

照れながら伝える。

「どうすんだよ!すげぇ……キスしたい!」

ヤスくんの胸がドキドキしてるのが分かった。

私の胸もドキドキしっぱなし。

「ヤスくん……私もだよ……」

保健室のカーテンに隠れた。

なぜか、ギャラリーが多くて、運ばれるまで見られてた!

ヤスくんがベッドに優しく置いてくれる。

布団をかけてくれると同時に、

チュッ……

チュッ……

チュッ……

三回……キスをくれた。

「可愛すぎ!ナナちゃん……」

そう言ったあと、

もう一度、

今度は、

「チュッ」

音を立ててキスをした。

ドキドキ……ドキドキ……

唇を放して、

「よく休んで……一緒にお弁当食べような?」

そう言ってくれた。

「うん。」

「彩月んとこ、今日はバスで行こうな?」

心配してくれてるんだ。

「うん。ありがとう……練習、頑張ってね?」

「あぁ。サンキュ!」

そう言って、カーテンから出ていった。

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