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ぜんぶ二人ではじめて

第37章 初試合

side 七海

ヤスくんが、お母さんと私のお母さんのところに挨拶してる。その間に私は片付けをした。

ちょうど片付いたとき、私の所に来た。

「ナナちゃん。応援ありがとう。」

帽子を取って、改めて礼をする。

「ヤスくん、スゴかった!感動したよぉ。」

興奮と、ヤスくんのかっこよさに見惚れて、顔が赤くなる。

「使って?」

タオルを手渡す。

「サンキュ!」

そう言って笑った顔が凛々しくて、胸がキュンとなる。

「どした?顔赤いよ?」

そう言っておでこに触るヤスくん。

「あ。大丈夫だよぉ。」

照れる!!!

「なんで、夜泣きの当番、3日も続けてやったの?」

私が答えると、ヤスくんが今度は頬を触る。

掌を重ねる……

ヤスくん……キスしたいよぉ。

私が理由を答えると、優しい声と瞳で、包み込んでくれる。

ドキドキが止まらない……

このあと練習があるからって、話したあと、背中を見送った。

背中を見送るのはなぜか切ない。

「市川、応援サンキュー!」

竜一くんと晃くんが手をあげながら走り去る。

竜一くんの背中を見送って、もっと切なくなった。

なんで…?

譜面台の片付けをしているとき、

「市川さんと根岸くんは付き合ってるんですか?」

と、吹奏楽部の部長、山田 智樹(やまだ ともき)さんに聞かれた。

「あ……えと……はぃ。」

頬が染まっていくのが分かる……

「本当に?」

「もう、さっきの雰囲気なんて、恋人そのものだったよね!」

先輩方がガヤガヤ話し出す。

副部長の池山 理緒(いけやま りお)さんが、

「いつから付き合ってるの?」

と。

「えと……去年の9月です。」

ドキドキしながら答える。

「で、さっきの雰囲気?!」

「すごっ!」

え?なんで?

「確かにねー。もうお互いのこと、いろいろ分かってます!って雰囲気だったよ。」

昌樹くんが言う。

「えっ?や、やだ。恥ずかし……」

うつむきながら片付けをした。

脳裏に竜一くんの背中が焼き付いて離れない。

どうしたんだろ?

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