テキストサイズ

ぜんぶ二人ではじめて

第40章 関係性

side 泰宏

17歳の初日は、愛するナナちゃんと迎えた。

目が覚めると、ナナちゃんは隣にいなくて、階下から、

トントントントン……

包丁の音がリズム良く刻まれるのが聞こえる。

朝ごはん、作ってくれてるみたいだ!

起きようかと布団を取った瞬間、

パタパタパタ……

階段を上がる音が聞こえた。

俺は咄嗟に寝たフリをする。

「ヤスくん、起きたかな?」

一人言が聞こえる。

俺が寝てる隣に来て、耳元で、

「ヤスくーん。朝ですよー。」

そう言って、頬にキスをくれる。

少し、長めのキスだったから、腕を伸ばして、ナナちゃんを抱き寄せて、唇にキスをした。

「ヤスくん。」

真っ赤な顔をして、困ったような顔で、

「おはよ、ヤスくん。」

笑顔になった。

今日も可愛いよ、ナナちゃん。

「おはよ、ナナちゃん。」

ふと美月の写真を見る。

美月…

目の前にナナちゃんがいる。

「ヤスくん、お誕生日おめでとう!」

「ありがとう。」

可愛く笑うナナちゃんに申し訳ない。

「ヤスくん。朝ごはん、出来たよ?!食べよう?」

「マジで?」

「うん!」

「嬉しい!」

「サンドイッチにしたよー。」

「最高!」

階段を下りて、ダイニングへ。

「良い匂い!」

「いただきます!」

「いただきます!」

二人で食べる食事は幸せだ。

ナナちゃんが作る料理に外れはない!

パクパクパク……

ナナちゃんの服装が可愛いけど、頭の中は美月でいっぱい。

エプロンにミニスカ…

朝の光が優しくナナちゃんを照らす。

その中で美月の面影を思い出す。

スタイルも顔も似てるところなんてないんだけど…

「ご馳走さま。」

「お粗末さまでした。」

そう言って、後片付けをする、ナナちゃん。

ナナちゃんとの時間を大切にしたい…

そう思っていたはずなのに…

どうしてこう、美月のことばかり気になるんだ?!

ストーリーメニュー

TOPTOPへ