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ぜんぶ二人ではじめて

第40章 関係性

side 七海

夜、先に寝てしまって、夜中、目が覚めた。

ヤスくんはとなりに寝てるはずなのに、いなかった。

ゴゾゴゾ物音がするから、部屋にはいるみたい。

ヤスくんに申し訳ないなーと思って、ベッドから身体を起こし、物音がする方を見たら、ヤスくんの背中が見えた。

ベッドに背を向けて、何かを見て、何かしてる。

そんな漠然とした光景が目に飛び込んできた。

邪魔したら悪いと思って、また眠った。

次に起きたのは朝方…

寝返りしたときに、ヤスくんと向かい合ったみたいで、ヤスくんが私に抱きついてきた。

「みつ…き…」

そう寝言を言ってた。

美月ちゃんの夢を見てるみたい。

美月ちゃんは妹のような存在だから…遊んでる夢でも見てるのかな?

そしてまた眠った。

朝になって、目が覚めた。

いつも私服を褒めてくれるのに、何も言ってくれない。

昨夜、先に寝てしまったから、ご機嫌斜めになっちゃったのかなぁ?

朝ごはんはサンドイッチにした。

黙々と食べて、ご馳走さまをした。

ヤスくん、心ここに在らずって感じだった。

ヤスくんの部屋の窓を開けて、空気の入れ替えをする。

ヤスくんは、窓の外を眺めている。

目線の先には、昌樹くん家と彩月ちゃん家がある。

うちのじいちゃんの家の前からはヤスくん家も含めて、三人の家が見える。

ちょこんと、ソファーに座った。

すると、ヤスくんの携帯が鳴った。

「もしもし?…あぁ。分かった。…じゃあ、午後には帰る?…はい。じゃあ。」

短い会話だった。

「あ。ごめん。母さんから。…ナナちゃん、昨日、今日って、ありがとね。」

優しい口調。

「ううん。…昨夜は先に寝ちゃって、ごめんね?」

「いいよ、全然。」

あれ?怒ってる感じじゃないなー。
じゃあ、どうして不機嫌ぽいの?

「ヤスくん?私、何か悪いことした?」

意を決して、聞いてみた。

「え?…いや…。何も?どうして?」

「怒ってるみたいだから…」

「そんなことないよ。」

それからヤスくんはため息をついて、私の頭を撫でた。

胸がキューンてなる。

なんだろう…一緒にいるのに、独りぼっちみたい。
唯一頼れる人のはずなのに…頼っちゃいけないんだ…

そう思って、

「帰るね?」

そう言えば、ヤスくんは、引き止めてくれると思った。

「うん。じゃあ。」

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