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ぜんぶ二人ではじめて

第41章 誓って…

side 七海

竜一くん家に着いた。結構、濡れちゃった。

「市川、超濡れたな。ちょっとリビングで待ってて!?」

「あ、うん。」

ピッ!と、暖房をつけてくれた。

あったかい!

冷えた体が少し暖かくなって、癒される。

「市川、そのままじゃマジで風邪ひくから、風呂入りな?今、沸かしてるから。」

優しい口調で話すから、落ち着く。

「ありがとう。」

「下着も濡れちゃった?」

渡されたタオルで頭を拭く。

「え?あ…うーん。大丈夫そう。そこまでじゃないよ。」

竜一くんのウィンドブレーカー敷いてた、と言うか、巻きつけてたし。

「上は結構濡れたんじゃない?大丈夫?」

「上…は……うん…背中が濡れてる…」

ブラまでビショビショ…

「そっか。乾燥機かけて平気?」

「うん。ネットに入れれば大丈夫。」

「あとで使い方教えるね?」

「うん。」

「乾くまでの着替えは俺のジャージでも良い?」

「うん。ありがとう。」

頼りになるなぁ…

ゴロ…ゴロ…

びくっ!

「雷、近づいてきたな。市川、苦手だろ?」

「うん。」

♩♩♫♬♩♩〜

「あ。風呂沸いた!もっと近くになる前に風呂入っちゃいなよ。」

「うん。」

「風呂、こっちだよ。乾燥機の使い方教えるね?」

「うん。」

「ネット、これ使って?で、洗濯物入れたら、このボタン押して…」

竜一くんの方が私より濡れてるのに…

優しいなぁ…

説明が終わって、竜一くんがタオルとバスタオルを出してくれた。

「着替え、この籠に入れて、脱衣所に置いておくね?」

「うん。…私より濡れてるのに、ありがとう。竜一くん。」

「俺は風邪ひかないからさ。気にしないで。」

竜一くんの優しさが沁みる。

私を想ってくれるからこその行動なんだよね、きっと。

その想いに私は応えられないのに…

ただ想ってくれるだけ。ただ想うだけ…それはとても深い。

ゴロゴロ…

嫌だな。雷、近くなってきた。早く温まって出よう!

冷えた身体を温める。

私はヤスくんが好きなはず。だけど、目の前に別の男の人が私を想ってしてくれる、思いやり溢れる行動は、嬉しい。

輝くんみたいな無理矢理感もないし。

竜一くんは親衛隊の中でも本当に頼りになるし、誠実な人だなぁ。

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