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ぜんぶ二人ではじめて

第41章 誓って…

ゴロゴロ…ゴロゴロ…

ハッ!

もう、出よう!

雷の音でハッとして、お風呂から出る。

ふわふわのバスタオル…

乾燥機はまだ動いてる。

仕方ないから、ノーブラで、竜一くんの長Tとジャージに身を包む。

洗面所にドライヤーも用意しておいてくれたみたい。

ガーガー…髪を乾かす。

竜一くんの長T、おっきい。ジャージも…ダボダボだ。

袖を3回折って、使う。

五分くらいドライヤーを使ってると…

プツンッ!

「え?…停電?」

外も暗くなってるから、夜みたいに暗い…

怖くて、その場から動けない。

「どうしよう…」

トントン!

ドアをノックされた。

「はい!」

「市川、停電みたいだけど、大丈夫?」

「う、、ん」

甘えられず遠慮する。

「入って良い?」

「うん。」

ガラッ!

パッと明るい光を照らしながら、竜一くんが入ってきてくれた!

「全然平気じゃないだろ?何遠慮してんの?」

その言葉に胸が熱くなる。

涙出そう…

でも、グッと堪えた。

「バスタオル持って、俺の部屋行こう?」

「うん。」

暗い廊下を竜一くんの後について歩く。

竜一くん家は平屋。奥が竜一くんの部屋みたい。

「今、明るくするね?」

そう言って竜一くんが部屋を明るくした。

ランタンだ!

落ち着く灯り…。

「あ…優しい光だね。」

「好きなんだ。こーゆーの。そこ、座って?」

そう言われてクッションに座る。

勉強机の椅子に竜一くんが座って、私の後ろに来た。

「髪、乾いてないね?」

「うん。まだ途中だったから。」

竜一くんがバスタオルで髪を拭いてくれる。

「体、温まった?」

「うん。」

ドキンドキンドキン…

竜一くんの指先から優しさを感じる。

応えられない想いなのに…

心が溶かされるような感覚に戸惑う。

「ありがとう…竜一くん…」

「これくらいしか出来ないから…」

「…」

言葉の意味を考える。

「市川の髪は細いけどしっかりしてるね。」

「うん。」

「濡れると毛先だけクルンてなるんだね。」

「うん。」

「乾いてきたみたいだ。」

そう言って髪を乾かす手を止めた。

「本当はさ、こんなチャンス滅多にないから、すげぇ緊張する。でも、俺は誓って市川の気持ちを無視することはしない。」

後ろを向いて竜一くんを見た。

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